DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
簡単に言えば「ITの力で事業や業務をより良く変化させる」ことです。
ただし、ITさえ導入すれば「良くなる」というものでもありません。
例として、コトラでのお客様からお預かりするファイル保存の試行錯誤の歴史をお話ししたいと思います。
苦悩6か月!コトラのDXは闘いの日々…
コトラはDX事業のほか、人材紹介業を営んでおりますので、転職を希望される方から履歴書や職務経歴書(以下、レジュメと記載します)をお預かりします。
コトラでは毎月新しく1000人弱の方からのレジュメをお預かりしますが、それに加えて、すでにお預かりしている方々が応募先に合わせたレジュメに変更されたり、新しくアップデートしたレジュメを送ってくださったりするので、合計では月に数千単位のレジュメを受け取ります。
大切なレジュメをお預かりするのですから、個人情報管理の観点から、会社が責任をもって正しく管理しなければなりません。
そのために大切なことが3つあります。
- 会社の管理下で、一元管理すること
- 受領者が速やかに所定の管理場所に保存すること
- 必要な人のみがアクセスできるようにすること
データ保管の場所を用意するのはシステム担当です。
セキュアなスペースを選定し、用意するところまではできました。
残す問題は誰がどのように保存するのか、ということです。
レジュメの受領は大きく分けて2通りあります。
このうち2.については、以前のコラムで保存方法をご紹介しました。
今回のコラムで問題になるのは1.です。
どんなにルールを定めても、人が介在すると必ずその人それぞれの常識が存在し、その乖離によって対応がバラバラになる、というお話しです。
■第1段階
以下のルールを定めました。
『コンサルタントはメールでレジュメを受領したら、各自で責任をもってレジュメ保存用スペースに保存してください』
さて、どうなったでしょう。
ルールを決めたから、みんなやるんじゃない?
ええ、そうだったらどんなに簡単でしょう!
実際にはやる人とやらない人が出ました。
ではやらない人に意見を聞いてみましょう。
『なんで保存しないんです?』
「すみません、ちょっと手が回らずに忘れてました……」
ちなみに、保存スペースのルールとして、転職のご希望者ごとに複数のファイルをお預かりするので、フォルダをわけて保存しています。
つまり、保存スペースに無数にあるフォルダを探すのに手間がかかるというわけです。
なるほどなるほど、そうですよね。
むしろ文句言わずやってる人達すごいですね!
では探さなくて良い方法をシステムで考えましょう。
■第2段階
コトラでの情報管理はSalesforceで全て行っています。
Salesforceにレジュメフォルダへのリンクを自動で作成されるように設定しました。
さて、これで登録されるようになりますよね?
……ならないですね。。。
うーん、、、やっぱり各自で保存するのは時間がないと忘れてしまうこともありますよね。
よし!サポートスタッフが請け負いましょう。
■第3段階
『サポートスタッフへの依頼メールアドレスを作成したので、受領したメールを転送してくれればサポートスタッフが保存します』
って、もうお分かりですよね。
そう、やらない人はやらないんですよ!この仕組みには穴があるんです。
「自分でやってますよ!」(全部はやっていない……)
「急いでたので転送するのを忘れちゃいました」
理由は色々ありますよね。
常識が違いますもんね。
でも、保存してくれないと、一元管理できないので、セキュリティ担当としては問題なんですよ!そして、他のコンサルタントがご案内するときに古い情報のままになっていたりで困るんですよー!!!
↑
そろそろちゃんとルールを守ってくれている人たちが密かにイラついてきました(汗)
■第4段階
もう人間任せはやめましょう。
添付ファイルを受け取ったら、GAS(Google Apps Script)で自動的にフォルダに保存します!
ふう、これで無事レジュメ保存用スペースに集約できましたね。
って、安心したのも束の間
「あんなファイル保存方法じゃ使えないよ!結局メール見ないとファイルがわからない」
「そのまま使えなくて結局変更しなきゃいけないから二度手間!」
うっ、、、登録者がそれぞれネーミングしたファイル名、しかも形式もバラバラのものを整理するにはGASだけでは力不足でした。
■第5段階
第3段階と第4段階の合わせ技、コンサルタントが受け取った添付ファイル付きのメールを、Google Workspaceの管理者コンソールでレジュメ保存用のメールアドレスに自動転送するという設定をし、このメールアドレスに届いたメールを『上から』『順に』『全て』サポートスタッフが処理するという業務フローに変更しました。
はあ、ここまで長かったですね。
これでもうばっちり!
って、え?まだ保存されていないファイルがある!?
確認してみると、2週間分ぐらい溜まってます(汗)
『もしもし、サポートスタッフさん?保存されていないレジュメが溜まってるみたいなんですけど』
「ええ、毎日少しずつやってはいるんですけど、終わらない分が溜まっちゃって」
『ん??必ず毎日全部やって欲しかったんですけど』
「そうなんですか?上からできる範囲でやればいいと思ってました!」
認識の違いって怖いですよね(泣)
上の文章で強調した『上から』『順に』『全て』
この単語のどこに重きを置いたのかで認識が変わってしまったという話です。
■第6段階
サポートスタッフの方が実施した件数が一覧で分かるようなレポートを毎日出すことにし、サポートスタッフの業務ルールに以下を設定しました。
・レジュメ保存は毎日残を0にすること
・やむを得ず残ってしまうときはその数を報告すること
これで着地しました。
ふう、長かったですね。
実際半年以上経過してしまいました。
システムで対応できることはもちろんたくさんあります。
しかし、それを使う人の行動パターンや思考も込みで設計しないと、想定とは異なる使われ方をしてしまいます。
DXとはそれも全て含めて検討設計することです。
どんなに常識が異なる人が使用しても同じ結果を得られるよう、それも全て含めて検討設計することこそ、DXの真髄です。
コトラではそんなトライ&エラーの歴史がたくさんあります。
自分たちでDX化を進めてきたからこそ、組織のDX問題に理解が深いです。
組織のDX化でお困りのことがございましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。経験豊富な担当者がご相談にのらせていただきます。
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