東京都恵比寿に本社を構える株式会社レゾナゲート(代表取締役 櫻井満利)は、来社不要、WEBで登録できるのが特長の人材派遣会社だ。
2010年の設立以来、「脱常識で新常識を創る」という想いの元、高時給、前給制度、WEB上での完結登録などで、人材派遣業界の常識を次々と覆してきた同社。第2創業期と位置付ける現在において、基幹システム刷新を決意。新システムのプラットフォームに選んだのがSalesforceだ。
その理由と導入に至る経緯、コトラとの導入プロジェクトについて、基幹システム刷新プロジェクトをリードした田尻太郎氏、熊ケ谷まどか氏に話を伺った。
Salesforce導入の背景
それまで人材派遣業界の常識を覆し、順調に業績を伸ばしてきた同社だが、一方、更なる飛躍を遂げるためには、応募承諾数、登録者数、案件ごとの進捗、すべてにおいて今まで以上の状況の可視化が必要と感じていた。
そこで代表の櫻井氏が選んだのが、Salesforceだ。
世界で圧倒的なシェアを誇り、自分たちでカスタマイズできる柔軟性と他システムとの高い拡張性を持つSalesforceなら、可視化をすすめ、思い描く理想の業務フローと業務効率最大化を実現できると判断した。
それまで利用していた人材業界向けパッケージシステムから、Salesforceへの基幹システム移行プロジェクトの責任者には、ITサービス事業部の田尻太郎氏と、営業企画部(当時。現・コーディネート部)の熊ケ谷まどか氏がアサインされた。
「今までのシステムでも、登録スタッフの情報や、案件の情報は管理できていました。一方、双方を結びつけるマッチングの状況や、企業への営業の状況を管理していくまでには及ばず、カスタマイズするにも限界がありました。Salesforceとは何かを調べていくうち、色々カスタマイズできることを知り、Salesforceの可能性を感じるようになりました」。
難航するベンダー選定と、コトラに依頼した経緯
Salesforce導入にあたって、当プロジェクトにアサインされた両名は、セールスフォース・ドットコム社から紹介された複数のベンダーと打ち合わせを重ねる。しかし、どの提案も決め手に欠き、決定しきれなかったと言う。
「どの提案も素晴らしかったのですが、会話をしていて(人材)業界のことをよく知らないことに対して、どこか引っ掛かりを感じていました」。
田尻氏が、他にも可能性がないか自ら検索を重ね、辿り着いたのがコトラのWEBサイトだ。「人材紹介会社がSalesforce導入支援をやっているのであれば、業務を理解してシステムを構築してくれるのではないか」と思い立った田尻氏は、コトラに提案を打診。
「システム構築するパートナーを選ぶ上で、ビジネスフローを同じレベルで話せる相手だということは、重要なポイントでした。この点で、コトラは、必要な要件やペインポイントについて同じ目線で話せる相手でした」と田尻氏は語る。
かくして、人材業務を理解し、人材業界において長年ユーザーとしてSalesforceをカスタマイズし続けてきたコトラとともに、刷新プロジェクトを進めることが決定した。
コトラが提供したサービスと支援内容
今まで利用してきたパッケージシステムからSalesforceへの移行には、ただ機能をリプレイスするだけでなく、登録スタッフと案件情報を紐づけるマッチングの強化、そしてそれに伴う、各項目の整理も要件に含まれていました。特にこだわった点は、検索画面とマッチング機能の強化です。
コトラが提供する「人材紹介パッケージ」をベースに、下記のカスタマイズを提供し、レゾナゲート様のご要望にお応えしました。
- オリジナルの検索画面の作成
- 自動マッチング機能実装(求職者/求人にあった候補レコードを自動的に抽出)
- ランニングコストのかからない帳票出力方式の採用
- Pardot導入
検索画面は、検索対象となる項目の選定やレイアウト、初期設定に至るまで、細かなチューニングを重ね、ユーザーが使いやすい検索画面を追求しました。
また、検索機能の拡張として、求職者/求人にあった候補レコードを自動的に抽出する「自動マッチング機能」も開発。
求職者(スタッフ)詳細画面、案件(JOB)詳細画面に、マッチングタブを設置し、タブを開くと条件に合致した案件(求職者)が自動的にリストアップされるようにし、検索の手間の軽減と、ユーザーの利便性を確保しました。
また、人材業において様々な帳票出力は必須機能ですが、要件の確認、仕様を詰めてきた結果、ランニングコストのかかるツール導入を見送り、Salesforceのpdf出力機能を利用した帳票出力方式を採用しました。
導入の成果
導入後の社内の様子を聞くと、「各チームリーダーが、メンバーの動きを気にするようになりました」と田尻氏。検索機能も好評で、今までは埋もれていた、過去の人材の掘り起しにも成功しているという。
また、今までは櫻井社長がこまめにリーダーやメンバーに進捗確認しなければならなかったのが、ダッシュボードで確認すればよくなったのも、大きな変化だという。それに伴い、資料作りなどの時間も軽減。ダッシュボードで状況の見える化が進んだことで、さらなる要求も出てきており、それをもとにカスタマイズや改善を重ねていく、好循環が生まれているという。
今後の展開
しかしながら、「まだまだSalesforceを活用しきれていないと感じている」と田尻氏。構築した新システムを継続的に改善し、マッチングの精度を高めていきたいと、Salesforce活用に積極的だ。
「今までは営業スタッフの勘や閃きといった、感覚的なものに大きく左右されてきました。熟達した営業スタッフの選定基準と、登録者のステータス、行動、傾向等を分析・スコアリングすることで、感覚的な基準をシステムに落とし込んでいきたい」と意欲を語る。Salesforceとともに成長していくレゾナゲートの活躍が期待される。